筋肉の合成を促進し、分解を抑制する効果を持つHMBサプリ。
1996年に、アメリカでその効果が発見されて以来、海外のボディビルダーを中心に、人気がある筋肉サプリの一つです。
2009年以降は、日本でもサプリとして販売できるようになり、一般のトレーニーの間にも徐々に普及してきています。
特に最近では、HMB以外の成分も同時配合されているタブレット型のHMBサプリの広告塔に、著名な元プロアスリートが起用されているケースも多くあります。
元スポーツ選手を起用しているHMBサプリは、次の商品が代表的です。
金剛筋HMB | ロナウジーニョ |
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HMBマッスルプレス | 長谷川穂積 |
ボディメイクHMB(プロ) | 魔裟斗 |
HMB極ボディ | 亀田興毅・亀田大毅 |
そんなHMBサプリですが、実際に飲むとなると、気になるのはその副作用でしょう。
いくら筋肉がついても、アナボリックステロイド(筋肉増強剤)のように、副作用によって脱毛したり、内臓を傷めたりしたのでは嬉しくありません。
そこで今回は、HMBに副作用があるのかどうか、信頼性の高い公的データをまとめて調査していきます。
HMBサプリの摂取に不安を抱えている方は、是非参考にしてください。
Contents
公的データの収集方法
各公的機関のデータベースを調査
サプリメントの副作用、健康被害に関する情報は、国内外にある複数の公的機関が調査して発表しています。
そのため、これらの発表を調べることで、現時点におけるある程度の安全性を担保できます。
今回は、国際スポーツ栄養学会、厚生労働省、国立健康・栄養研究所、東京都薬剤師会、全日本民主医療機関連合会という5つの公的機関のデータベースを調査します。
いずれも、非営利を目的とした機関なので、信頼性の高さは申し分ないでしょう。
データベースで検索する際は「HMB」だけの検索では不十分です。
HMBには「β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸」「3-ヒドロキシイソ吉草酸」「ビス-3-ヒドロキシ-メチルブチレートモノハイドレート」「3-Hydroxy 3-MethylButyrate」など複数の呼称があります。
そのためデータベースの調査は、これらの呼称、全てで確認しています。
国際スポーツ栄養学会のデータ
HMBの副作用は確認されていない
国際スポーツ栄養学会(ISSN)は、スポーツ栄養学に関する世界最大の非営利組織です。
ISSNでは、スポーツサプリメントの有意性について、独自の客観性が高い調査に基づき、声明を発表しています。
HMBの安全性、副作用については、公式サイトで、以下のように公言しています。
Evidence to date indicates that that consumption of HMB is safe in both young and old populations.
直訳すると「これまでに得られた証拠は、HMBの摂取は若者と高齢者の両方に安全であることを示している。」という意味です。
この声明は、アメリカのボールステイト大学で実施された実験結果が根拠になっています。
カンザス大学のPhilip Gallagher博士の下で行われたこの実験は、1ヶ月に渡り、推奨摂取量の2倍にあたる6,000mg/日のHMBを摂取し、人体への影響を調べる形で行われました。
その結果、コレステロール、ヘモグロビン、白血球、血糖、肝臓機能、腎臓機能のいずれにも、悪影響が見られませんでした。
そのため、最低でも1日6,000mgまでのHMBサプリの摂取において、副作用は確認できなかったとしています。
ちなみに、この検証で使用されているHMBは「HMB-Ca(HMBカルシウム)」です。
最近では「HMB-FA(HMB遊離酸)」という、HMB-caよりも高価なHMB原料が使用されているHMBサプリもあります。
しかし、HMB-FAを使用した検証は、まだあまり行われていない点には注意しましょう。
厚生労働省のデータ
HMBの副作用に関する記述はない
健康食品やサプリメントの安全性は、厚生労働省が管轄しています。
厚生労働省による各成分に対する見解は、健康増進法に基づいて5年毎に更新される「日本人の食事摂取基準」に書かれています。
HMBについては、最新の「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」の策定検討会報告書で言及されています。
ここでは、HMBの効果に対して「筋肉におけるたんぱく質合成を誘導する重要な働きをすると想定されている。」という評価が記されており、アメリカや台湾で実施されたポジティブな研究結果も引用されています。
しかし、残念ながらHMBの副作用については言及されていません。
掲載されている研究において、1日2gのHMBを摂取しているので、この量が厚生労働省における1日の摂取上限量と考えるのが無難でしょう。
ある程度の長期的データが揃う、次回2020年版の日本人の食事摂取基準では、HMBの副作用についても何か記載があるかもしれません。
国立健康・栄養研究所のデータ
HMBに関するデータなし
日本には、サプリメントが原因と思われる健康被害の情報収集や、健康食品に含まれる栄養素の有意性について検証を行っている機関があります。
その一つが、独立行政法人国立健康・栄養研究所です。
大正9年に内務省「栄養研究所」として誕生して以来、約100年に渡って、公衆衛生の向上及び増進を図る公的機関です。
国立健康・栄養研究所では、ほぼ毎日更新される、健康食品の被害情報に関する独自のデータベースを保有しています。
このデータベースを調査したところ、2019年1月現在、HMBの副作用に関するデータはありませんでした。
2009年の食薬区分改正以来、現在ではドラッグストアで普通に購入できるほど、数多くのHMBサプリが市場に出回っています。
しかし、今のところ健康被害を訴えた例はないようです。
東京都薬剤師会のデータ
HMBに関するデータなし
公益社団法人東京都薬剤師会でも、サプリの健康被害に関する情報を収集しています。
東京都薬剤師会は、明治20年に「東京薬舗会」として設立された130年以上続く団体です。
東京都の委託により運営している、健康食品データベースでは、健康食品に関する情報が網羅的に公開されています。
調査の結果、2019年1月現在、HMBの副作用に関するデータはありませんでした。
今のところ健康被害を訴えた例はないようです。
全日本民主医療機関連合会のデータ
HMBに関するデータなし
日本の医療機関で構成する社会運動団体「全日本民主医療機関連合会」でも、サプリの健康被害に関する情報を収集しています。
全日本民医連は、47都道府県で約2,000の事業所が加盟している、日本最大規模の医療機関関係組織です。
最近は、安倍9条改憲NO書名運動、ヒバクシャ署名運動など、共産党の支持団体としての活動がメインになってしまっているようですが。。
調査の結果、2019年1月現在、HMBの副作用に関するデータはありませんでした。
こちらにも、健康被害を訴えた例はないようです。
HMBの副作用に関するまとめ
調査の結果、2019年1月現在、HMBの副作用に関する報告はありませんでした。
現在のところ、HMbサプリによる健康被害は発生していないようです。
また、国際スポーツ栄養学会(ISSN)のガイドラインによると、HMBは1日6gまでの摂取であれば、安全に摂取できる可能性が高いようです。
しかし、HMBは比較的新しい栄養成分のため、まだ長期的な摂取による副作用の存在は明確ではありません。
研究が進むまでは、厚生労働省が海外の研究報告を引用している1日2gまでの摂取を上限にする方が無難でしょう。
こちらの記事は、HMBの副作用に関する最新情報が入り次第、随時更新していきます。